酒米「亀の尾」とは?伝説の酒米が今なお愛される理由

『夏子の酒』で広まった知名度

今から36年ほど前に週刊モーニングに連載されていた「夏子の酒」ってご存知でしょうか?

作品の中では、失われた酒米「亀の尾」を復活させ、その米で最高の日本酒造りを目指す物語が描かれていたんです。

この作品をきっかけに、実際の酒蔵や農家による亀の尾復活への取り組みも注目されるようになって、多くの日本酒ファンがその存在を知ることになったんです。

そんな経緯もあって、日本酒好きなら一度は耳にしたことがあるであろう酒米の名前「亀の尾(かめのお)」なんです。

近年では、この酒米を使った限定酒や復刻酒が各地の酒蔵から発売されて、

多くの日本酒ファンの注目を集めていると言われています。

今回は、そんな「亀の尾」がどのような酒米なのか、その歴史や特徴についてちょっとだけ紹介したいと思います。

幻の酒米と呼ばれる「亀の尾」

夏子の酒」の中でも描かれていましたが、

亀の尾は、明治時代に山形県で誕生した酒米です。

1893年(明治26年)、山形県庄内地方の篤農家であった
阿部亀治という方によって選抜・育成された品種とされているんです。

当時としては非常に優れた収穫量があって、

その品質の高さから東北地方を中心に広く栽培されるようになっていたんです。

また、多くの酒米や食用米の品種改良にも利用され、日本の稲作に大きな影響を与えた存在になっていたそうです。

しかし、栽培の難しさや倒伏しやすい性質があって、次第に生産量は減少していきました。

やがて市場から姿を消し、「幻の酒米」と呼ばれるようになったんです。

亀の尾が日本酒ファンを惹きつける理由

亀の尾を使った日本酒には、「個性がはっきりしている」という特徴があります。

もちろん味わいは酒蔵や造りによって異なりますが、

一般的には

  • しっかりとした米の旨味
  • 奥行きのある味わい
  • 豊かな香り
  • 複雑な余韻
  • 食事と合わせやすいバランス

最近の華やかな吟醸香のある日本酒とは異なり、

米本来の存在感を感じられる酒になりやすいと言われています。

そのため、「飲み飽きしない酒が好き」「食中酒として楽しみたい」という方から高い支持を集めているようですね。

現代によみがえる亀の尾

現在では全国各地の農家や酒蔵が亀の尾の栽培や酒造りに取り組んでいます。

収量の安定した現代品種に比べると手間がかかるものの、

「亀の尾ならではの味わい」を求める造り手たちによって受け継がれるようになってきました。

その結果、純米酒、純米吟醸、特別純米酒など、さまざまな味わいの日本酒が生まれています。

酒蔵ごとに表現が大きく異なるため、

同じ亀の尾でも各蔵元で違うお酒になるのも「亀の尾」の魅力のひとつかもしれません。

亀の尾は単なる古い酒米ではありません。

日本酒の歴史を支え、多くの品種のルーツとなり、

そして今なお多くの造り手たちによって受け継がれている特別な存在です。

「亀の尾」で作られた日本酒を飲んだ時には、

その一杯の酒の中に、百年以上受け継がれてきた日本人の米づくりの物語が詰まっているかもしれませんね。

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