
日本酒は『チビチビ飲むもの』なのか?
~オンザロックで見えた新しい楽しみ方~
【夏になるとなぜ日本酒よりビール手が行くのかー?】
昔から夏になると考えることがあるんですよ。
「なんで夏は日本酒を飲まなくなるのかなあ?」と・・・。
もちろん、暑いからビールに手が出るのはわかっているんですよ。
でも、日本酒は極端に夏場は選択肢から遠ざけられているように思いませんか?
ビールは仕事終わりにグビッと一杯。
居酒屋でも最初はとりあえずビールという方が多いでしょう。
まあ、普通に考えると
よく冷えたビールが美味いからという答えになるんでしょうし、
缶ビールになると、手軽に「プシュ」と開けるだけで
グビグビ飲めて、プハーってなりますからね。
一方、日本酒はどうでしょうか。
「ゆっくり味わうもの」
「少しずつ飲むもの」
「たくさん飲むと酔いやすいもの」
そんなイメージを持っている方も少なくありませんかね。
もちろん、それも日本酒の魅力なんでです。
それに日本酒だって冷やせば美味いはずなんですっよ。
でも、なぜか夏場は敬遠されがちなんですね。
【崩れ去った固定観念】
先日、妻が風呂上がりに大きめのロックグラスに大きな氷を入れて
透明な液体をグビグビ飲んでいるのをみたんです。
「えっ!何飲んでんの?」と聞くと、
松の司の純米吟醸」といったんです。
試飲用に開けた瓶を横に置いて
堂々とグラスを傾けている姿は、
なんと男らしいと惚れごれする格好でした。
でも、私の心に浮かんできたのは、
「そんなことしたら、日本酒が氷で薄くなってしまうやないかい!」
という気持ちでした。
すかさず、「そんな邪道ぞ!」といったんです。
すると妻の一言、
「美味しかったら、どうやって飲んでもええやんか!」
確かにそうですよね。
誰に迷惑をかけるわけでもないのですからね。
そこで私も、風呂上がりの一杯に
日本酒のオンザロックを試したんです。
大きめのロックグラスに氷を入れ、そこへ日本酒を注いでみました。
すると予想以上に印象が変わったのです。
これがなんとも言えない爽快な飲み口
ビール並みとは行かないまでも、
大きめのグラスのお酒が、みるみるなくなっていくんです。
完全に私の固定観念は、崩れ去ってしまいました。
冷やして飲むと思っていたものが、
氷を入れて飲むことで
全く別のものに生まれ変わったんですね。
まず冷たくて口当たりが良い。
氷が少しずつ溶けることで、アルコールの刺激がやわらぎます。
日本酒特有の重たさが軽くなり、驚くほどスイスイ飲めるのです。
まるでビールやハイボールを飲んでいるような感覚に近いかもしれません。
日本酒は一般的にアルコール度数が15~16度ほどあります。
ビールの3倍近い度数です。
しかも、お猪口やぐい呑みで飲むことが多いため、
一口ごとに濃さをしっかり感じます。
その結果、
「夏場は、おいしいけれど、たくさんは飲めない」
「ちょっと身構えて飲んでしまう」
となっているのかもしれません。
もちろん、すべての日本酒に合うわけといっているのではないですよ。
しかし、「日本酒は難しい」「重たい」というイメージを持っている方には、
一度試していただく価値があると思います。
【飲み方はフリーダム!我々は自由だあー!】
考えてみれば、日本酒には冷酒、常温、燗酒と様々な楽しみ方がありますよね。
それなのに、オンザロックは意外と試したことがない方も多いのではないでしょうか。
私自身、今回飲んでみて感じたのは、
「日本酒の可能性は、まだまだ飲み方の中に隠れている」
ということでした。
最近は、ハイボールのように日本酒を炭酸で割って飲む若い人も増えてきているようです。
私たち酒屋は、どうしても「どんなお酒か」を伝えることに力を入れがちです。
しかし同じくらい大切なのは、「どう飲むと美味しいか」を伝えることなのかもしれません。もし日本酒をもっと気軽に、もっと身近に楽しんでもらいたいなら、
お猪口だけではなく、大きなグラスに氷を浮かべて飲む。
そんな提案もありなのではないでしょうか。
皆さんも、お気に入りの一本で一度試してみてください。
思いがけず、「日本酒ってこんなに飲みやすかったんだ」と感じるかもしれませんよ。

